2015-04-18 19:14 | カテゴリ:雑談
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超高速取引(HFT)について書かれた本、「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」を読みました。

面白かったです!!
というかHFTについて疑問だった事の答えがその本の中にありました

まず分かった事は、よく言われている、
「買おうと思って、板に出されている売り板に買い注文を入れたら、売り板が消えて買えなかった」
という現象について、塩漬けマンは勘違いしていました。

「消える」と言われているので、約定前に注文が取り消されているのかと思ったら、そうではなくて、売り注文をHFT業者が超高速取引で先回りして買い占めていたのですね。
それが買おうと思っていた投資家からしたら売り板が「消えた」ように見えると。

そしてHFT業者は買い占めた株を少し高い値段で売りに出す。
元々その株を買おうとしていた投資家はしょうがないから本来買えたはずの株価より高い値段(上記のHFT業者が出した売り板)で買わざるとえない・・・

↓劇場にするとこんな感じですかね(´・ω・`)しょぼーん

投資家「投資銀行の○○さん、A株を10万株買いたいんだけど、よろぴく~♪」
投資銀行のトレーダー「らじゃっすっ!お、ちょうどA株が1万株、100円で売りに出てる♪まずは1万株、アムロ、買いま~すっ!注文実行!ぽちっとな♪」
HFT「クックック、おせんだよ!お前が買う前に俺が買っちゃうもんね~♪」
投資銀行のトレーダー「あれ・・・買えなかった(´・ω・`)しょぼーん」
HFT「クックック、じゃあさっきのA株1万株、102円で売ってあげるよ、ほい売り注文」
投資銀行のトレーダー「むむむ・・・102円で売り板出てきた・・・さっきの100円で買いたかったな(´・ω・`)しょぼーん」
投資銀行のトレーダー「ん~・・10万株も買わないといけないし、あの顧客せっかちなんだよな~・・・雇用統計良さそうだから明日はもっと株価上がりそうだし・・・102円でいいや買っちゃえ!」
【以下繰り返し】↓結果
投資家「おい!なんか凄い高い株価で買ってない?どういう事よっ!」
投資銀行のトレーダー「(´・ω・`)しょぼーん」

ここまでだと、かなりの疑問が沸きますよね。
最大の疑問は「HFTはどうやってトレーダの注文を知りえたのか?」ってことだと思います。

塩漬けマンはこの点について前から凄く疑問に思ってて、注文がばれるタイミングはどこか、どこでばれたら先回りして注文出来るのか、ネットワーク構成図を描いて吟味した事がありますが、分かりませんでした。

答えがこの本に書いてあって、トンでもないカラクリでした。
まぁアメリカ特有の証券システムを悪用したカラクリで、塩漬けマンは日本で考えていたので、そもそも答えなんて出るはずなかったのですが(´・ω・`)しょぼーん

アメリカの証券取引所は規制緩和によって、無数にあるらしいですね。
10以上の取引所があるそうです。
ただ、勿論トレーダーは一つ一つの取引所の株価を確認して買うなんてめんどくさい事しません。
社内のトレードシステムで買い注文を出したら、最適なルートで自動で注文した株数分、各取引所に注文が発注されるようです。

この最適なルートというのが曲者です。
優先順位的には以下のような感じだと思います(想像)
1.安い株価で売り注文が出ている取引所(大規模なフロントラン事件の教訓から、投資家保護のため、一番安い売り注文を出している取引所から順に買わなければいけない法規制が出来たため)
2.報酬金が貰える取引所(よく分からなかったのですが、手数料を取られるどころか、注文内容によっては、逆に報酬金が貰える取引所があるようです)
3.近い取引所(注文が届くスピードが速いという意味での近い)


んで、注文したら、売り注文が消える事無く、必ず約定して、しかも報酬金がもらえて、近いというパーフェクトな取引所があったそうです。
ただ、この取引所にはほぼ買いたい銘柄の売り注文が出ているのですが、最低単元の100株とか、いつも少なかったそうです。
仮にこの取引所をXXXと呼びます。

少ないとはいえ、他の取引所では売り注文が消えて買えないのに、XXXでは必ず買える・・・素晴らしい!!
・・・勘の鋭い人はもう気づいていますよね(´・ω・`)しょぼーん
はい、この取引所がHFT業者の罠だったのですっ!
なんと、この取引所を開設したのがHFT業者だったのです!

上記の優先順位により、どこの投資銀行から出された買い注文も最初の注文は大抵XXXが受け取ります
その注文情報から投資銀行の買いたい銘柄が判明するので、後はお得意のHFTを駆使して、他の取引所に先回りして、売り注文を先買いする訳です。

本著の主人公達は上記の対応策として、わざと注文の届くのを遅くして、どこの取引所へも同じスピードで注文が届くシステムを開発したそうです。
端的に言うと、XXXへ届く注文を遅くしたのです。
たったそれだけの事であら不思議、売り板が消える現象が起きなくなったのですっ!

あれ?じゃあ最初からXXXだけに注文を送らないシステムを作ればいいのでは?って思いますよね。
上記の優先順位の1の所に書きましたが、一番安い売り板を出している取引所に絶対注文しないといけないという投資家保護のための法律があるので、XXXにだけ注文を出さないという事は出来ないのです。

HFT業者は、投資家保護の法律さえ、投資家を食い物にする事に利用する・・・真のクズですは・・・
作中に出てきた以下の言葉が全てを表しています。
「アメリカの金融市場はいつでも腐っているか、腐る寸前だ」

次の疑問は、HFT業者はどうやって投資銀行が買おうとしている全注文数を知っているかという事です。
前述までで投資銀行が買おうとしている銘柄が分かる仕組みが解明されました。
しかし全注文数が分からないと、以下のような事が起きます。

1.投資銀行の注文で、A銘柄100株 XXXで購入された
2.HFT業者はXXXの注文を見て、HFTで他の取引所のA銘柄を買い占めた
3.実は投資銀行が買おうとしていたのは100株だけだった
4.HFT業者は売る当てもないのに大量のA銘柄を買ってしまって(´・ω・`)しょぼーん


上記の例は極端ですけど、要は、HFTとしては、投資銀行が買おうと思っている全注文数以上を先回りして買ってはいけないのです。

そこでちょっとフローを書いて確認してみました。
この本に書かれていた前提は以下の通りです。
・無数の取引場に出されている板情報を集約するシステム「SIP」が存在する
・投資銀行からの買い注文は各取引所に同時に出される


flash_boys_fllow.jpg

ん~・・・やはり上記の図では、HFT業者が投資銀行が買おうとしているA株の全株式数を知る事は出来ません。

作中には以下のような事例が記載されていました。
①あるヘッジファンドの社長が証券会社のオンライン口座ブルームバークで特別に借りている端末であるETFの株価を観察
証券会社のオンライン口座の画面にそのETF買い注文を入力
③ブルームバークの端末でETFの株価が跳ね上がった(※買い注文実行していないにも関わらず!!)
④結果、高い値段でETFを買わされた

・・・つまり、この事例から判断するに、証券会社が注文情報(しかも注文実行されていない段階で)をHFT業者に売り渡しているという事です。
・・・犯罪ですよね?にわかには信じられません。

さらに本を読み進めると、どうやら、投資銀行(証券会社)、取引所とあらゆる所が、顧客の注文情報をHFT業者に売り渡していると書いてありました。

ですので、上記のフローのあらゆる所で注文情報がHFT業者に漏れ漏れで、それによって、投資銀行(証券会社)、取引所は莫大な利益を得ており、さらにHFT業者はそれよりも大きい利益を得ており、その分だけ一般投資家が損をしているという事です。

食い物にされているのは一般投資家と言っても、勿論我々のような弱小個人ではないですよ。
※勿論我々弱小個人も食い物にされるのでしょうが
有名なヘッジファンドの創始者や、泣く子も黙るような一流投資家がHFT業者の食い物にされているのです。

彼らはウォール街の成功者で市場において「自分は捕食者でいる」と思っている人達です。
所が真実は、彼らもまた真の捕食者HFT業者に食い物にされ、味方であるはずの投資銀行(証券会社)、中立であるはずの取引所に裏切られている憐れな子羊だったのです。

上記までは「HFT業者が取引所等から不正(?)に入手した注文情報から一般投資家(具体的には一般投資家に依頼された投資銀行のトレーダーの注文)に先回りして買う手口」について書きましたが、勿論HFTの本領が発揮されるのは、取引所のサーバに物理的に近い場所にコンピューターを設置し、正当(?)に誰よりも速く板情報をゲットする事で、一般投資家などの遅い注文にフロントランニングする手法です。

HFT業者の勝率はほぼ100%、株式は持ち越さないので、ほぼノーリスク
唯一損失を被る可能性は、突然のテロや地震で予期せず株価暴落したタイミングで、大口の注文をさぐるために、まきえのように撒いてた100株とかの注文が約定していた時・・・とはならないのです。
予期せぬ株価暴落という時は、まずシカゴの先物が動くので、その動きを察知して、HFTで素早く手仕舞いし、損失を回避するのです。
既にシカゴとニューヨークの間には、HFT業者用の光ケーブルだけではなく、光ファイバーより4.5ミリ秒早いマイクロ波の無線電波塔が建っており、フラッシュボーイズ達のミリ秒を争う戦いは次のステージに突入しているようです。

完璧ですね・・・
本著はこの偽善と欺瞞、隠蔽と不合理のアメリカ市場に真実の光りをあて、市場に公平をもたらすために、新しい取引所を作ろうとする主人公達の奮闘を描いています。
しかし、投資銀行(証券会社)は自らHFT業者の真似をしてHFT業者化しているため、公平な取引所なんて出来ても注文を送りません(=注文が少なければ取引所は赤字で倒産)。
むしろ、そのような公平な取引所は、不公平な取引所を利用して金儲けをしている投資銀行(証券会社)、HFT業者に取っては邪魔でしかありません。
果たして主人公達の【公平な取引所を作る】という無謀な挑戦は成功するのか?!

気になる人は本著を買ってみてはいかがでしょうか。

尚これはアメリカの話しで対岸の火事・・・ではありません。
東証も電子化し、アローヘッドを作った際に、にコロケーションサービス(アローヘッドに近い場所でHFT業者等のサーバを有償で設置させるサービス)を開始し、25億もの利益を得ています。

東証もアメリカの取引所と同じように我々投資家をHFT業者に売り渡して利益を得ているのです。

投機においては基本的に取引所も含めて、自分以外全員敵だと思っていないといけませんね(´・ω・`)しょぼーん

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