2021-06-20 08:59 | カテゴリ:勉強や投資情報
2021年6月第四週IPOまとめの後半です。

五月事変以降の傾向として、早く寄るのにマネゲが起きない(=参加者が減っている)です。
なのでかなり厳しめのバイアスを掛けています。

※SOはらすたねこさんのツイッターを参考にしています。

■6月24 (木)

[4068] : ベイシス
市場:東M (情報・通信業)
事業内容:携帯電話のインフラ・ネットワーク構築・運用保守、IoTインフラ・ネットワーク構築・運用保守
公募株式数:総計:349,000株(公募:196,000株 / 売出:153,000株)売出株式比率:43.8%
公開価格:2,040円
吸収金額:8.18億円
時価総額:35.8億円
ロックアップ:たった7100株(0.43%)のVC以外全員に解除条項なしの180日ロックアップ
SO:76000(76000ロックアップ)
【塩漬け評】
通信インフラ工事の会社でJTOWERが連想されるけど、全然違います。JTOWERは自社で建てた基地局をキャリアに貸し出すストック型ビジネス、ベイシアはキャリアの依頼を受けてキャリアの基地局を建設・運用するだけ。
しかも、ベイシスが実際に建てるのではなく、パートナー企業に発注・・・つまり、キャリアが直接現場の会社とやり取りしないでいいために間に入って管理費・手数料の薄利を抜くイメージ。
20210616ベイシス
そのため、減価償却も少なく誤差の範囲内で営業利益率が低く、投資先としての魅力は少なく、成長性だけとなります。
ただし、ストック型の収益の割合は2/3にも及んでいます。しかし目論見書をよく読むと、プロジェクトが数年に及び、1~3か月の契約を更新していく事を「ストック型ビジネス」と言っているので、投資家がイメージする「ストック型ビジネス」じゃないのもストック型と言っているので注意。
この辺りは営業利益率を見れば、「ストック型の営業利益率じゃないし薄利なんだな」って言うのが分かると思います。
[21年6月期予想]売上48億(+47%) 営利3.2億(+164%) 営利率6.7% EPS127円 PER16倍
小型で初値が高くなるけど、ロックアップ完璧で需給が良く、JTOWER連想(上記の通り全然違うけど投機家の妄想力の前には関係なし)と事実成長率はJTOWERを超えてるので、マネゲ化の可能性あり。
最近の傾向で、低く寄れば面白いかも。小型で高く寄ったらマネゲだけにストップ高orストップ安の1/2ギャンブル。

[4200] : HCSホールディングス
市場:JQS (情報・通信業)
事業内容:情報サービス事業、ERP事業、デジタルマーケティング事業を営むグループ会社の経営管理及びそれに付帯する業務
公募株式数:総計:630,000株(公募:360,000株 / 売出:270,000株)売出株式比率:42.9%
公開価格:1,800円
吸収金額:13.0億円
時価総額:45.3億円
ロックアップ:12万株(4.59%)のVC以外ほぼ全員に解除条項なしの180日ロックアップ
SO:454400(369600ロックアップ)
【塩漬け評】
THE!普通のIT企業って感じ。ERP事業部があるぐらいERP(SAP導入)に力を入れてて、なぜかERPが投資家に人気のようですが、多分英語ってだけでよく分かってないのに「なんか凄そう!」って事で人気なんだと思います。元SEで、まさにERP導入の仕事をやっていた塩漬けマンからしたら、特に儲かる仕事でもなく普通のIT業務過ぎて、なぜ投資家に人気なのか「???」状態です。
んで、こういう受託メインのIT企業は派遣メインよりはましだけど、やってる事はほとんど派遣と変わらなかったりして、業務内容も横文字だらけでなんかよく分からないけど凄そうって感じでしょうが、簡単に良いビジネスをしているIT企業か見分ける方法があります。
営業利益率を見れば一目瞭然です。買ってもいいなっていう合格ラインは20%以上PER30倍以下。10%以下ならPERは15倍以下が適正。
[21年6月期予想]売上50億(+6.2%) 営利3.6億(+0.9%) 営利率7.2% EPS94円 PER19倍
という事で、塩漬けマン的には魅力がないIT企業に映るし、最後の頼みの綱、売上成長率も6.2%ではちょっと・・・
でも小型の部類なので初値高騰するでしょうから、余裕でスルーしますし、低く寄ってもスルーします。

[7318] : セレンディップ・ホールディングス
市場:東M (輸送用機器)
事業内容:経営コンサルティング、事業承継サポート、M&A支援、プロ経営者の派遣、製造事業会社の運営
公募株式数:総計:850,000株(公募:850,000株 / 売出:0株)売出株式比率:0.0%
公開価格:1,130円
吸収金額:11.0億円
時価総額:47.7億円
ロックアップ:17万株(4.6%)のVC以外ほぼ全員に解除条項なしの180日ロックアップ
SO:378000(378000ロックアップ)
【塩漬け評】
セクターと業務内容が不一致してない?って思いますが、輸送機器で正しいです。愛知の会社らしく顧客にトヨタ系の製造業が多く、その中で事業継承を目的に製造業を傘下にしており、以下の通り売上のほとんどが製造業です。
・経営者、エンジニア派遣 13億
・投資、M&A 2.3億
・製造業 138億
[22年3月期予想]売上150億(+3.8%) 営利3.3億(+1.2%) 営利率2.2% EPS44円 PER25倍
実態は東証二部にいるような地味系製造業なのに配当がなくてPER25倍は割高過ぎるのに、小型でロックアップほぼ完璧で高く寄りそうなのでセカンダリーは危険

[4932] : アルマード
市場:JQS (化学)
事業内容:卵殻膜を配合した食品、化粧品の企画・開発・販売
公募株式数:総計:5,300,000株(公募:50,000株 / 売出:5,250,000株)売出株式比率:99.1%
公開価格:880円
吸収金額:53.6億円
時価総額:91.4億円
ロックアップ:66%保有の第一位株主が69%を売り出した上で残りは1.5倍解除。後は解除条項なしの90日
SO:314000(31400ロックアップ)
【塩漬け評】
コロナ禍で上場延期で、その時と想定価格を比較すると、なんと約半額・・・第一位株主VCの意地でもイグジットしたい意志(=地雷)を感じる・・・
想定価格1,620円→840円
想定時吸収金額:100億円→51.1億円

[20年3月期実績]売上58億 営利10億 営利率17% EPS65円 PER13.5倍
[21年3月期実績]売上45億(-21.5%) 営利5.2億(-46.5%) 営利率11.5% EPS36円 PER24倍
[22年3月期予想]売上48億(+7.4%) 営利8.2億(+55.7%) 営利率17% EPS55円 PER16倍

成程、減収減益で1年前よりディスカウント価格って事ですか。となると焦点は22年3月期予想が信じられるかどうか
盛った数字で無理やり上場してVC逃げる・・・つまりgumiパターンが疑われます。
ただ、卵って投機家にはお馴染みのファーマフーズが意識されるんですよね。
商品を見てみると、サプリ・スキンケア・メイクアップ・ボディヘアケア商品で、値段は塩漬けマンの価値観からすると高すぎて絶対買わないですが、意識高い系の女性は普通に買うのかな。
時価総額は小さいけど、VCの売出が多く吸収金額的には大型の部類なので早く寄るだろうけど、1.5倍でVCが売ってくるだろうから、1.5倍以上で寄ると危険で、逆に1.5倍以下でも上が知れてるので投機資金が来にくいです。

■6月25 (金)

[7096] : ステムセル研究所
市場:東M (サービス業)
事業内容:再生医療を目的に、さい帯血及びさい帯の分離・保管を行う「細胞バンク事業」
公募株式数:総計:830,800株(公募:256,200株 / 売出:574,600株)売出株式比率:69.2%
公開価格:2,800円
吸収金額:26.7億円
時価総額:143億円
ロックアップ:個人二人(2.2%)以外は全員に解除条項なしの90日ロックアップ
SO:0
【塩漬け評】
赤ちゃんのへその緒の血液(臍帯血)を将来の罹患に備えて保存する会社。
日本トリムの子会社。
ロックアップが掛かっていない、いかにも株を売りたそうな個人二人、調べたら昔のステムセルの元会長と元代表取締役でした。
創業者二人がさっさと株を売りたい会社って・・・
保存料金は一括で払うパターンもあるけど、基本的にストック型ビジネスに分類していいと思います。
ただ、後述しますが、塩漬けマンはこの手のビジネス大っ嫌いです。
しかし、いかにもマネゲ化しそうです。
とりあえず数字は以下の通り。
[22年3月期予想]売上17億(+21%) 営利2億(+130%) 営利率11% EPS27円 PER103倍
PSR8.4倍 40%ルール21+11=32

公募価格でフェアバリューって感じ。
さて、ポイントは水素水を売っている日本トリムの子会社って事です。
水素水を知らない人はいないと思いますが、まとめるとこんな感じ。
①まず市販の水素水に実際に水素が入っているかどうか
「水素水」はただの水!? 国民生活センターが衝撃調査 メーカー側に反論聞いてみたら…
②次に効能について業者の広告が合法かどうか
「水素水」にご注意、違法効能PR 国民生活センター
③最後に効能が本当にあるのかどうか
水素水の効果あり・なし論争に大槻教授が参戦!語られた3つの真実とは?
つまり、効能がないにも関わらず、違法広告で、尚且つ水素の入ってない水を水素水として売っている疑惑
※上記は日本トリムの水素水の事を言っているのではなく、水素水に対する意見の一部です。
尚、日本トリムは批判する者に裁判で挑んでいます。
「インチキ水素水」ブログ、「中傷だ」と日本トリムが研究者提訴
また、国民生活センターの水素水調査によって日本トリムは下方修正をしています。
弾けた「水素水バブル」、日本トリムの言い分

もう、この時点でなんか怪しいなぁ疑惑が塩漬けマンの中でふつふつと湧いてくる訳です。
医者じゃないと分からないので、それは専門家に任せます。
後、日本赤十字社が運営する公的さい帯血バンクという無料のもあります。
ただし、上記は自分や子供のための保存ではないので、自分や子供が病気になっても使えず、要は他人のために貴重な臍帯血を寄付する感じです。
んで、多分この手のはマネゲ化する確度が高いです。日本トリムも水素水でマネゲ化しました。
中型なのがマネゲを阻む要素ですが、逆に早く寄ってロックアップが完璧ならワンチャンあるかも。
なので投機で買うかもです。
ていうか、日本トリムの水素水とか、MTGの電気で腹筋とか、大幸薬品の二酸化塩素で殺菌とか、アールビバンの絵画商法とか、塩漬けマンの嫌いな上場企業シリーズに新しくステムセル研究所が加えられますね。

上記とは完全に別の話として聞いて下さい。
似非科学による健康商材・美容グッズ無農薬有機添加物がダメ電子レンジがダメ野菜で癌治す怪しいサプリメントとか人間の健康に対する不安や美容に対する欲求や子供を健康に育てたいという親の愛情を逆手に取った詐欺的ビジネスで金儲けしてる連中、ほんっと嫌いなんですよね!
特に元農家なので、「無農薬有機がいい♪」とか言ってる人見ると軽くムカつきます。
また、友達が癌になったんですけど、「タンパク質(肉・卵・牛乳全部)を一切取らずに、野菜ジュースを飲めば癌は治る」という団体に洗脳されて、ニンジンジュースしか飲まなくなって亡くなりました。
似非科学で騙すのは死ぬ可能性のない人だけにしとけよっ!
特に大病を患って心が弱って藁にもすがる想いの人や、親の愛情を利用するのは悪質過ぎるぞ!

最後に、二つの記事を紹介します。
へその緒は「詐欺」のビジネス?
「もともと科学者や専門家の間では、民間バンクのやり方に疑問を投げかける声は多い」
「実際には臍帯血を保存しておいたところで治療に必要な量の幹細胞が含まれていないとか、公的バンクを使って他人の臍帯血を移植したほうが治療効果の高いことがある」

「幹細胞バンクは詐欺」、幹細胞研究の第一人者が警告
「幹細胞バンクは親たちの善意につけ込んでいるだけ」
「この種の診療施設では確かに幹細胞を使った治療を行うが、その後は患者任せだ。重い病気で家族と一緒にいるべき患者を家族から引き離して、効果が見込めない治療をする。費用は1回あたり5万~15万ドル(約450~1400万円)程度だろう」と博士は話す。「こんなことは間違っている」

ただし、破産した臍帯血バンクの臍帯血を流用して再生医療に使ってた事件があるし、日本赤十字社の公的臍帯血バンクもあるので、臍帯血自体の再生医療における有効性は確かにあるのかもしれないです。
問題は、一人の赤ちゃんの臍帯血に治療に必要な量の幹細胞が含まれていないかもしれないから、万が一病気になっても日本赤十字社の公的臍帯血バンクを使った方が良い可能性があり、民間の高価な臍帯血バンクを利用する意味がないかもしれないって事。

上記の二つの記事が正しいと仮定すると、ステムセルを買って煽る煽り屋の煽り方で、またはラジオ日経や日経CNBCの銘柄紹介で人格・倫理感・品性が問われますね・・・
ステムセルを買い煽る人の煽り方に注目だ!!

[5759] : 日本電解
市場:東M (非鉄金属)
事業内容:電解銅箔の製造販売
公募株式数:総計:6,335,700株(公募:50,000株 / 売出:6,285,700株)売出株式比率:99.2%
公開価格:1,900円(想定価格比-23.4%)
吸収金額:136億円(想定価格比-41億円)
時価総額:137億円(想定価格比-42億円)
ロックアップ:89%保有の第一位株主が86%を売り出す上に1.5倍解除
SO:0
【塩漬け評】
THE・VCイグジット案件。吸収金額と時価総額がほぼ一緒って・・・そのため凄い不人気で想定価格比-23%の公募価格。とりあえず数字は以下の通り。
[21年3月期見込]売上145億(+16%) 営利5.2億(-42%) 営利率3.6% EPS26.8円 PER70倍
[22年3月期予想]売上188億(+29%) 営利13億(+147.5%) 営利率6.9% EPS120.5円 PER15.7倍
 EBITDA26億 売上EBITDA率13% EBITDAを考慮したEPS約240 EBITDAを考慮したPER約8倍

21年3月期に営業利益が減っているのは銅価格の上昇と子会社買収等の減価償却費が増えたから。しかし、銅相場価格を基準に販売価格を決定する「銅価スライド制」で顧客と契約しているので、タイムラグはあるが銅価格上昇分は販売価格に自動的に転嫁出来る。減価償却費が重く、それを差し引いて考えると結構稼いでて隠れ割安銘柄
数字だけから判断すると以下の感じ。
・良い条件でVCがイグジットするために22年の数字を盛ったり、好条件で算出してないですか?
 ※gumiのせいでこの懸念をしないといけなくなった
・22年予想だと30%成長でPER15倍(減価償却を考慮すると実際は8倍前後)は買えるように見えるけど、盛ってる数字で21年が実態に近いとすると割高で買えない
ただし、業務内容(LiB・5G)が時宜に適しているのでちゃんと成長はしそう。
20210619日本電解
しかも、全固体LiBにも、次の革新型電池にも銅箔は使うようで、その研究開発もしています。
アメリカ唯一の銅箔メーカーを買収してるのはいいけど、売上44億・営業利益3400万程度の会社。
取引先はパナソニックに偏っており、リスクと取るか、大手LiBメーカーのパナソニックに信頼されてると取るかは人それぞれ。
20210619日本電解取引先
※日立ハイテクが消えた理由は日本電解→日立ハイテク→パナソニックの販売ルートだったのが、三社合意の元、パナソニックにダイレクトに販売するようになったからなので気にしなくて良い
VCイグジット案件で、想定価格比-23.4%の上に公募割れでもしようものなら、残ってるVC保有分が1.5倍解除と言えど、ありな気がする。1.5倍に近い所で初値になると、心理的には良くないですし、低く寄ってその後株価上がっても、1.5倍が心理的な節目になるので、短期マネゲ化は難しく薄利を取りに行く感じにはなるけど。
でも中長期投資視点ではVC売りとか気にする人はいないだろうし、決算で予想通りの業績を出して実力を示せるかが大事になります。

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