2014-09-27 17:41 | カテゴリ:所見日記
そういえばクラウドの話が出たので、昔話でも。
真面目な話しですいません。
たまにはいいかなと。
IT業界の胡散臭さを感じてもらえれば幸いです。

塩漬けマンが関わったある会社はERPパッケージを作っていました。

このERPというのは、10年以上前にIT業界で流行っていました。

ERPとは統合業務パッケージソフトと訳します。

こういうと何がなんだか、分からないと思いますが、凄いですよ。

会社の業務は主だったものだけで、調達・購買、製造・生産、物流・在庫管理、販売、人事・給与、財務・会計等がありますが、これら業務システムが統合された、パッケージソフトなのです。

今までは各業務毎に別システムだったのに、統合されているのだから、これ一つ導入すればOKということです。
※勿論、必要な業務だけ導入も出来ます。
しかもパッケージソフトというのもポイントです。

今までは多くの大手企業はコア業務(製造・生産・物流・在庫管理・物流・販売等)は各企業が自社に合わせて独自に開発したシステムを使っていました。

でもパッケージソフトという事は、自社開発でなく、出来合いのソフトということです。
つまり安いってことです。

100%自社開発したら、システム開発・運用管理に莫大な費用が掛かりますが、ERPでは、世界標準の最先端業務システムが、安く導入出来るというのが売りです。

勿論「安く」と言っても、会社の全業務システムが一新されるのです。
導入には安くても1億~無限(会社の規模に応じて)の費用が掛かりますよ。

10年以上前、IT企業が躍起になって宣伝したのです。

「ERPを導入してこそ一流企業だ」
「ERPを導入してない?正気ですか?」


そういう雰囲気を作って、あらゆる企業にERPを導入していきました。

結果、ほとんどの企業、特に優良企業と言われる大企業では大失敗しています。
まずこのERPパッケージですが一番有名なSAPはドイツ製、二番目に有名なOracleEBSはアメリカ製・・・所詮彼らの作る世界標準では、世界標準のさらに上を行く日本の大手優良企業の高い業務要求を満たす事は出来ないのです。
※尚SAPのベンダー資格を取るには100万とか掛かるって話しです

例えば生産現場では、新システム導入となれば期待しますよね。
「仕事が楽になる」
って・・・ところが実際はERPの新システムでは、
「今まで出来ていた事が出来ない!」
「入力が大変だ」
「仕事が増えた」
「使いづらい」

という不満が出てきます。
そりゃそうですよね。
今までは自社開発した、自分達が使いやすいように最適化されたシステムを使っていたわけですから・・・

結果起こるのはカスタマイズ地獄
パッケージソフトをカスタマイズして無理矢理今までの仕事がそのまま出来るようにするのですが、そしたら、莫大なカスタマイズ料が発生します。
さらにそもそも出来合いのパッケージソフトをカスタマイズするという無理をしているのですから、バグ地獄となり、さらに費用が掛かります。
会計システムでバグなんて起きた日には、下手したら支払いが遅れる等、会社の信用問題になるリスクも発生します。
※この時点でパッケージである意味(安い)が喪失
※これでIT企業はさらにぼろ儲け・・・ただしバグ地獄に発展したら、赤字プロジェクト転落

今まで出来ていた業務が出来なくなり、カスタマイズで費用も掛かる・・・最終的にみんなこう思います
「どうして大金を掛けて新システム導入したの?今までのシステムで良かったのに・・・」

業務改善をすることが目的でなく、ERPを導入する事が目的となってしまったがために起こる悲劇です

そもそも会社の全業務システムを一新して、さらに改善しようというのですから、本来なら、ERP導入には社内で出来る限り権限の強い人がプロジェクトマネージャーになり、全社員一丸となって取り組まないといけません。
各業務のERP導入担当者には、各業務現場でエース級のキーマンをあて、各課の長をプロジェクトリーダーに任命し、IT企業主導でなく、会社主導で臨まないといけません。

なのに、その認識がなく、IT企業の
「パッケージソフトですから、安く、簡単に導入出来て、既存システムより経費削減出来て、業務改善が出来ますよ♪何より、ERPを導入してないと一流企業とは言えませんよ」
なんていう甘い言葉に乗って、IT企業に丸投げすると、ほぼ失敗します。

あるITコンサルタントはこう言っていました
「ERPとはIT企業がクライアントを騙して金儲けするために作った魔法の言葉だ」
と・・・

ちなみにERP導入は外国では概ね成功します。
だって、日本みたいに、凝ったすごい業務をしてないですから・・・自分達が作り上げた他社が真似できない凄い業務プロセスみたいなのがないのです。
なので、外国では、SAPにしろEBSにしろ、ノンカスタマイズで導入(=安く、世界最先端の業務プロセスゲット)が出来るのです。

日本でも、中小企業とか、業務内容にこだわりのない企業は、ERP導入成功例が多いです。

と、まぁERPの前置きが長くなりましたが、その一世を風靡したERPパッケージソフトをオリジナルで作っているという点に最初は感激したものです。

ところが、中身を見てビックリしました。
ERPって統合業務システム・・・つまりあらゆる業務システムをカバーしていないといけないのに、ただの販売管理システムだったのです!!
ただの販売管理システムなのにERPと名乗っていたのは、データを抽出して、他のシステム(他社が作った会計システムや給与システム)に連携できるから、名乗っても間違いじゃないだろうという、拡大解釈からです。
※そりゃデータベースに格納しているデータをSQLでちょちょいと抽出ぐらいどのシステムでも出来ますよ
※他社が作った連携先システムの方で、外部データの取り込みに対応してないと、連携出来ないってことなのですが・・・

ERPと名乗りたい本当の理由は勿論「流行に乗って売りたい」って事です。

さらに会社業務の基幹である、会計システムや給与システムに手を出さない理由は、既に凄いシステムが存在し、今更参入しても勝てないというのと、税金とか、毎年法律変わるので、その度にシステムを法律に合わせて修正して配布しないといけないので、そういうのをやろうとしたら、会計士・税理士・社労士等の資格を持っているレベルの技術者が必要になり、また、開発にも費用が掛かるからです。

さて、まぁ百歩譲ってそれはいいとしましょう。

この会社で作っているERPパッケージの最大の売りはWEBという事です。
あのERPを、なんとWEBで導入!!これは中々良い特色です。
会社のHPでも高らかに「WEB」版ERPというのを宣伝していました。

ところが程なくして、ASPという言葉が流行りだしました。
※ASPとは、アプリケーションソフト等のサービス(機能)をネットワーク経由で提供するプロバイダ(= provide 提供する 事業者・人・仕組み 等全般)のこと

すると流行に乗って、WEB版ERPから、ASP版ERPと宣伝し始めたのです。
中身・仕組は全く変わっていません。
勿論ASPと名乗っても嘘ではありません。

ところが程なくして、SaaSという言葉が流行りだしました。
※SaaSとは、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア(主にアプリケーションソフトウェア)もしくはその提供形態のこと。一般にはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組み

すると流行に乗って、ASP版ERPからSaaS版ERPと宣伝し始めたのです。
中身・仕組は全く変わっていません。
勿論SaaSと名乗っても嘘ではありません。

ところが程なくして、クラウドという言葉が流行りだしました。
※クラウドとは・・・(以下略)

すると流行に乗って、SaaS版ERPからクラウド版ERPと宣伝し始めたのです。
中身・仕組は全く変わっていません。
勿論クラウドと名乗っても嘘ではありません。

さぁ、次は何が流行って、なんと名乗るのでしょうか。
勿論中身・仕組みは変わりませんが・・・

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