2020-05-10 09:01 | カテゴリ:勉強や投資情報
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のまとめの続きです。
第一章 株式投資の二大流派
第二章~第四章 過去のバブルについて
第五章~第七章 テクニカル分析とファンダメンタル分析について
第八章~第九章 学者の投資へのアプローチ(MPTとCAPM)について
第十章 行動ファイナンス学派の新たな挑戦
第十一章 「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」
第十二章~第十五章 最後のまとめ


章ごとのまとめを毎回公開してますが、ぶっちゃけ、5行で超要約すると
・過去のバブルを通して人間の愚かさを説明
・投機家のテクニカルは宗教で論外と、侮蔑を持って否定
・投資家のファンダメンタルは主義でお手並み拝見と、遠慮を持って否定
・学者の現代投資理論は一考の価値ありだが、敬意を持って否定
・結果、インデックスファンドのドルコスト平均法による長期運用こそ至高の投資法

で、これだけ読んでも三日後には忘れてますよね。なのでなぜ上記の考えに至ったかの詳細を知る事が大事だと思います。
※インデックスファンドのドルコスト平均法とは、分散投資+時間分散で究極にリスクを減らした投資法ですので、逆に言えば究極に儲からない事はシミュレーションしたら一目瞭然で、100万を1000万にするとか不可能な事は知っておいてください。また、好景気の時に始めて、平均取得単価が高い期間が長いと、損失期間が長く、時間を相当無駄にする事になるので注意です。

また、本書を読む時の注意点として、様々な検証結果や数字が示される事はありますが、テクニカルアナリストは『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態であるのと同様に、著者自身も、まさに『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態ではないだろうか?という疑問符は常に付きまといます。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』まとめ 第十一章 「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」

※青文字は本著に書いてある事でなくて、塩漬けマンの捕捉説明や意見

2010年代終わり、インデックスファンドに勝てないと考える投資家が増えており、アクティブファンドからインデックスファンドに資金が流入している。
そんな中以下の主張をするファンドマネジャーが現れて何千億ドルもの資金を引き寄せた
・銘柄選択で勝負する必要はない
・ポートフォリオの回転率を低く抑えてパッシブ気味に運用
・プラスの超過リターンを得る(シャープレシオを高くする)
※シャープレシオとは、リスクを考慮してリターンを評価した運用成績を測るための指標

「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」と呼ばれる運用手法である。

スマート(賢い)・ベータ(市場平均)運用とは、インデックスファンド運用と対比すると分かりやすい。
・インデックスファンド運用・・・全ての銘柄を時価総額加重平均で組み入れる事で完全なる株価指数連動をする金融商品=株価指数と同じリターン(あるいは損失)しか得られない
・スマート・ベータ運用とは、インデックスファンドと基本的には同じだが、以下のようなファクターから構成銘柄のウェイトを変える(=追加のリスクを取る)事によって、シャープ・レシオ(プラスの超過リターン)を大きくした金融商品
※ファクター:バリュー株、グロース株、小型株、大型株、モメンタム株、非モメンタム株、売上成長率、利益成長、利益率、財務レバレッジ、ボラティリティ、流動性等

具体的にはETFという形で提供されており、以下のようなETFが存在する。
VVIAX・・・バンガード・バリュー・インデックス・ファンド(CRSP米国大型株バリュー指数に連動:バリュー株にウェイトを置いている)
VIGAX・・・バンガード・グロース・インデックス・ファンド(CRSP米国大型株グロース指数に連動:グロース株にウェイトを置いている)
IWB iShares Russell 1000 ETF(ラッセル1000指数に連動:時価総額にウェイトを置いている)
AMOMX・・・(プラスのモメンタムを持つと思われる大中型株にウェイトを置いている)
SPLV・・・(低ベータにウェイトを置いている)
※アメリカ株投資している人にはこういうのお馴染みで、日本人もこういうスマート・ベータ運用のETFをインデックスファンド投資気分で勘違いして買ってる人多いですよね。

過去のデータから、個別のファクターについて分析すると確かに優位性は証明出来る。
バリュー株はグロース株に勝っているし、小型株の方が大型株よりハイリターンだし、低ボラティリティ株は高いリターンとなるし、モメンタムの存在は否定できない。
しかし、実際それらのファクターにウェイトを置いて銘柄が構成されたETFの成績を検証すると、結局インデックスファンド(市場全体をカバーしているETF)と比べて超過リターンを達成していないどころか、負けているのが多い。

では複数のファクターを組み合わせたETF(ファクター・ブレンド運用)はどうだろう?
確かにマイナスの相関関係を持つファクターを組み合わせれば大きなリスク低減効果となる。
そして実際に存在するブレンド・ファンドの運用成績は市場平均をわずかに上回る結果となっている。
【ファンド名】 【年平均超過リターン】 【シャープレシオ】
DFA社の小型バリュー株ファンド(DFSVX) +0.81% -0.02
DFA社の大型バリュー株ファンド(DFLVX) +2.21% -0.01
RAFI社のパワーシェアーズ +0.24% -0.06
RSP社等の金額荷重ETF +1.57% -0.01
しかし、リバランスに伴うキャピタル・ゲイン税が負担となり、また投資顧問会社経由のみで購入可能な場合があり、追加の手数料が発生する。

まとめると以下の感じ
・アクティブファンド・・・ファンドマネージャーの個別銘柄の選択で勝負する
・インデックスファンド・・・完全に市場平均と連動する銘柄群を組み入れる
・スマートベータファンド・・・ファクター特性(単一)を持つ銘柄群にウェイトを置く
・ブレンドファンド・・・ファクター特性(複数)を持つ銘柄群にウェイトを置く
※日本人はスマートベータファンドもインデックスファンドもごっちゃになってそう


忘れてはならないのは、スマートベータファンドの超過リターンは、インデックスファンドよりも追加のリスクを取った結果に過ぎないという事であり、市場のきまぐれの産物である。
それを理解した上でチャレンジしてみたい投資家は、資産の一部で、単一ファクターではなく、ファクター・ブレンドのスマートベータファンドの中から経費率の最も小さいのを選ぶことをお勧めす。

リスク・パリティ運用とは、低リスク・低リターン資産を組み入れたPFを作り、借入金で自己資金の何倍もの規模で運用(=レバレッジ)する方法だ。
この方法で大成功している人物にレイ・ダリオがいる。
彼が創業したブリッジ・ウォーター・アソシエイツ社は「最小リスクで最大の利回りを目指す」を掲げ、リーマンショック化でもプラスの運用成績を上げ、運用総額は16兆円と世界最大のヘッジファンドとなり、ヘッジファンド界の帝王と呼ばれる反面、好景気には市場平均を下回るリターンとなっている。
レイ・ダリオのファンドは全天候型を標ぼうし、株式と債券のみならず、他の金融商品も低リスクであれば何でも組み込んで分散投資でさらにリスクを減らしている。
それ故に小さいリターンをレバレッジで何倍にもするのだ。
↓実際の長期運用パフォーマンス
【ファンド名】 【年平均リターン】 【標準偏差】 【シャープレシオ】
ブリッジ・ウォーター社全天候ファンド 8.21% 11.43% 0.51
バンガード社S&P500インデックスファンド 8.88% 14.93% 0.44
バンガード社全株式インデックスファンド 8.94% 15.32% 0.43
バンガード社バランス型インデックスファンド 7.78% 9.17% 0.59
→つまり、インデックスファンドよりわずかにリターンは小さいが、リスクはかなり小さくなっている。

新しいPF構築の考え方は常に念頭におくべきだ。
分散投資という観点からもチャレンジする価値はある。
しかし以下の二点を忘れない事が大事だ。
・運用経費の小さい低コストファンドであること
・資金の大部分は伝統的な全株式インデックスファンドとする事



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