2020-05-06 08:35 | カテゴリ:勉強や投資情報
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のまとめの続きです。
第一章 株式投資の二大流派
第二章~第四章 過去のバブルについて
第五章~第七章 テクニカル分析とファンダメンタル分析について
第八章~第九章 学者の投資へのアプローチ(MPTとCAPM)について
第十章 行動ファイナンス学派の新たな挑戦
第十一章 「スマート・ベータ」と「リスク・パリティー」
第十二章~第十五章 最後のまとめ


章ごとのまとめを毎回公開してますが、ぶっちゃけ、5行で超要約すると
・過去のバブルを通して人間の愚かさを説明
・投機家のテクニカルは宗教で論外と、侮蔑を持って否定
・投資家のファンダメンタルは主義でお手並み拝見と、遠慮を持って否定
・学者の現代投資理論は一考の価値ありだが、敬意を持って否定
・結果、インデックスファンドのドルコスト平均法による長期運用こそ至高の投資法

で、これだけ読んでも三日後には忘れてますよね。なのでなぜ上記の考えに至ったかの詳細を知る事が大事だと思います。
※インデックスファンドのドルコスト平均法とは、分散投資+時間分散で究極にリスクを減らした投資法ですので、逆に言えば究極に儲からない事はシミュレーションしたら一目瞭然で、100万を1000万にするとか不可能な事は知っておいてください。また、好景気の時に始めて、平均取得単価が高い期間が長いと、損失期間が長く、時間を相当無駄にする事になるので注意です。

また、本書を読む時の注意点として、様々な検証結果や数字が示される事はありますが、テクニカルアナリストは『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態であるのと同様に、著者自身も、まさに『統計は嘘をつかないが、統計使いは統計を使って嘘をつく』状態ではないだろうか?という疑問符は常に付きまといます。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』まとめ 第八章~第九章 学者の投資へのアプローチ(MPTとCAPM)について

※青文字は本著に書いてある事でなくて、塩漬けマンの捕捉説明や意見

前章までで学者が古典的な投資手法(テクニカルとファンダメンタルズ)を否定してきた事が紹介されていますが、その学者が導き出した投資へのアプローチ(MPT:現代ポートフォリオ理論、CAPM:資産評価モデル)がこの章から説明されています。
しかし、相変わらず著者はそれにも全面的には賛同しておらず、ひたすらインデックスファンド推しをしています。


第八章 新しいジョギングシューズ

ここまではテクニカル教徒とファンダメンタル信望者を説明してきたが、ここからは学者が考案した新しい投資テクノロジーを説明する。
このうちの一つ現代ポートフォリオ理論、またはMPTと呼ばれる考え方は基本であり、ウォール街全体に浸透し、未だ不完全であるため、学生達は多くの論文を産み出し、指導教授達は懐を肥やしている。
しかし、それを以てしても結局はインデックスファンド運用こそが最も実り多い投資法であるという事を再確認するだけだ。

リスクはリターンに結び付くというウォール街の見解は、学者の研究でも証明されている。
特にハイリスクな程ハイリターンとなる。
長期的には株価は上昇しているため、株価が大きく調整するハイリスクな期間に投資した投資家は、より大きなリターンを得ている。
※この章のここにおけるリスクっていうのは、危険な銘柄や手法って意味ではなく、景気低迷や不況によって大きく株価全体が長期調整する期間がリスクが高い時というイメージ
しかし、リターンの目標が与えられた時にいつでも、リターンを犠牲せずにリスクを低下させる方法がある。
これこそが現代ポートフォリオ理論の主要なテーマである。

そしてリスク低下のために用いるのが分散投資である。
しかし、景気が悪くなると株価が下がる銘柄だけで分散をしても意味がない。
状況により株価が真逆に動く(=マイナスの相関)銘柄で分散をしなければならないのだ。
もし完全にマイナスな相関の銘柄で分散投資をすればリスクは完全になくなる。
※リターンも完全になくなると思いますけどね・・・

しかし、現代ポートフォリオ理論の提唱者であり、それによりノーベル賞を受賞したマーコビッツの最も重要な発見は、マイナスの相関は必ずしも必要なく、完全に正の相関でない限り、分散投資さえすれば、何であれリスク低減に役立つ可能性を示した点である。

アメリカ株だけで構成したPFよりも、アメリカ経済とマイナスの相関にある外国株も入れて分散投資した方が、リスクが減るのは当然だか、なんとリターンも増えるのである。
この国際分散投資は、かつては「ただ飯」(必ず儲かるという証券用語)に近かったが、現在ではアメリカと諸外国の株式の相関係数が高まり、有効ではなくなっている。
しかし、特に新興国を分散投資に組み入れたPFの場合、あのリーマンショックの時でさえ、その後十分なリターンを得ていた事になる。
また、株式に限らず、債権も分散投資の対象として有望で、幅広い債券に分散投資するインデックスファンドは、あのリーマンショックの時ですら5%のリターンが得られた避難場所として存在していたのだ。

第九章 リスクをとってリターンを高める

リスクには報酬がある。
だからこそ、学者もウォール街も人々はリスクと格闘し、うまく利用してより高いリターンを得ようとしてきたのだ。
リスクを利用するためにリスクを計測する分析ツールを武器としなければならない。

完全にマイナスな相関(真逆に動く)な株式は存在しないため、分散投資はある程度リスクを軽減出来るが、完全にリスクを無くす事は出来ない。
シャープは取り除けるリスクと取り除けないリスクを研究し、資産評価モデル(CAPM)を発表し、マーコビッツ(前章参照)と共にノーベル賞を受賞した。
※このシャープって、狂信的な効率的市場仮説信者で、株で儲ける事が出来るという証券関係者を詐欺罪で逮捕するように検察に行って説得していた、ランダムウォークマフィア(証券関係者に取ってはマフィアのようにやっかいな学者という意味)ですね。

CAPMによれば高いリターンを得るには、分散しても取り除けないリスクを取らなければならず、「β(ベータ)」と呼ばれるPFの尺度を調節する事によって、市場平均より高い運用成績を上げ、リターン競争に勝てるとした。
株価は基本的に同じ方向に自動的(システマティック)に動く物であり、それを「システマティック・リスク」(=取り除けないリスク)と呼ぶ。
そのシステマティック・リスクを数値で表した物が「β(ベータ)」である。

例えば、まずS&P500などの平均的な指数を1とし、ある銘柄はβが2である場合、その銘柄はS&P500に対して二倍動くという意味となる。つまり、市場が10%上下すれば、その銘柄は20%上下する。

尚、非システマティック・リスクとは、株価がその会社だけが持つ個別要因(業績・好材料・悪材料等)によって、市場と自動的に連動しないリスクであり、これは分散投資によって完全に無くす事が出来る。

つまり、βが1の銘柄(=平均して市場と同じように動く)を一つ保有しても、非システマティック・リスク(個別要因)によって、株価の騰落は市場平均とは同じにならないが、βが1の銘柄を100銘柄に分散して保有すれば、非システマティック・リスクは限りなく0に近くなり、市場平均とほぼ同じように動く。
これをβが1.5の銘柄だけで行うと、市場平均より50%、上か下に変動(=システマティック・リスク)する事になる。

そして、CAPMはこう主張する。
リスクには当然リターン(=プレミアム)が伴うが、非システマティック・リスクを取ってもリターンは得られない。
総リスクの内、投資家がプレミアムにより報われるのはシステマティック・リスクの部分のみであり、即ち、βの値でその大小が決まる。
※例えば、個別要因で暴落している個別銘柄でリスクを取って買ってもリターンは得られないって事。得られても、それはただの運。分散投資でも取り除く事の出来ないシステマティック・リスク部分しかリターンにはならないんだそうです。

これをCAPM以前の一般的な考え方と比べると違いが鮮明になる。以下のようにPFを組んだとする。
グループ①:非システマティック・リスクの大きい60銘柄
グループ②:非システマティック・リスクの小さい60銘柄
※単純比較のためβは全て1の銘柄とする
従来の考え:グループ①の方がリスクが大きい分、リターンも大きい
CAPMの考え:60銘柄による分散により非システマティック・リスクは限りなく0になるので、同じシステマティック・リスクのみ残り、よってリターンはグループ①も②も同じ

つまり、より多くリターンを得るにはシステマティック・リスクが高い(=βが高い)銘柄を買えば良い事になる。
これはウォール街で1970年代に大流行した。
証券会社はこぞってβを計算し提供するサービスを始めた。
市場のタイミングを計る事が出来ると考える投資家はβという武器を手に入れる事で、上昇すると思う時にはβの高い銘柄を買い、下がると思う時にはβの低い銘柄に乗り換えた。
この大流行は、βを作った学者達でさえ呆れる程であった。

尚、βを超えるリターン部分をα(超過リターン)と呼ぶ。
これは優秀なファンドマネージャーを探す指標の一つとなった。
しかし、本当にβが高い銘柄は高いリターンをもたらすのだろうか?

ユージン・ファーマとケネス・フレンチはβの高い銘柄群と低い銘柄群に分けて、過去30年間のリターンを計算した所、なんとβの大小に関係なく、リターンは同じとなった。
※ユージン・ファーマって効率的市場仮説を確立してノーベル賞を受賞した学者です。
著者も80年代における投資信託のリターンとβについて調べ、その間には何の関係もないという結果になった。

そして90年代になると、かつてβ教を布教しまくっていた金融情報誌は
「βは死んだ」「バイバイ、β」「打ち捨てられたβ」
といった記事を載せるようになった。
これにより、現代ポートフォリオ理論(MPT)を含めて疑惑の目で見られるようになる。
アメリカ人って流行を作っては捨ててばっかりだな。

しかし、著者はβを全く役に立たないとは考えていない。
前提としてβを正確に計測する事が不可能であり、その計算方法によっては、リターン予測モデルとして有効であるとの研究もある。
また、例えβとリターンに相関性がなかったとしても、それはより低いβの銘柄を買えば、小さいリスクで市場と同程度のリターンが得られる事を意味しており、非常に有益である。

そして例えβが否定されたとしても、株価をシステマティックに動かす、あらゆるリスクファクター(国民所得、金利、インフレ率等のマクロ経済変数、時価総額、BPS、PBR、EPS、モメンタム、流動性等の個別銘柄要因)を分析して、リスクの数量的な測定の研究は学者達の間で今も続けられている。
なぜなら・・・ここで九章の最初の3行を読み返して下さい。



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