2018-09-23 11:27 | カテゴリ:勉強や投資情報
『ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて』の感想です。
最初はいつものように「まとめ」をしていたのですが、それだと本著の内容を余すところなく伝えてしまい、それを公開すると著者に申し訳ないので、その「まとめ」は自分の備忘録として封印し、別途簡単な感想とします。

右の「お役立ち情報」の所で「まとめ」をしている本は外国人の書いた本であり、翻訳の問題もあり難解で、また分厚く文字も小さく凄い分量であるため、分かりやすく「まとめ」をする意味がありましたが、本著は日本人が書いた本であり、かなり分かりやすく、文字も大きく分厚くない本であるため、「まとめ」を読むぐらいなら、本著を買って読んだ方がいいので。

まず、題名からして、ランダムウォーク仮説と行動ファイナンス理論の説明をした本だと勘違いしますが、実際は、それらの説明は誰でも分かるように(=浅く)、半分ぐらいで説明されており、残り半分はそれを踏まえて市場でどのように戦えばいいかの姿勢や投資理論の説明となっています。
ですので、塩漬けマンが題名を付けるなら、「ランダムウォーク&行動ファイナンス理論から導き出される市場の本質と投資理論」としたと思います。

従って、ランダムウォーク仮説(効率的市場仮説)と行動ファイナンス理論について深く学問として学びたいという人に取っては、入門書や導入書にしかなりませんが、それらをどのように解釈してマーケットで収益機会を見つけるかという所まで知りたい人に取ってはベストの本となります。
ちなみに、ランダムウォーク(効率的市場仮説)と行動ファイナンスは相対する考え方であり、それが両方題名に入る事で塩漬けマン的にはわくわくする題名になっています。
尚、2013年のノーベル経済学賞は効率的市場仮説を提唱してきたユージン・ファーマと、それを批判する行動ファイナンス派のロバート・シラーの双方に与えられ反響を呼びました。
※行動ファイナンスとは経済学と心理学を融合した行動経済学の内、特に投資に焦点を当てたものです。

まず本書で最初から最後まで徹頭徹尾繰り返し述べられている事は、「マーケットの本質は不確実性である」という事です。
従って、必勝法などという物は存在せず、優れた投資理論とは、必勝法ではなく、「不確実性にどう対処するか」という事を解き明かすものとしています。

そして前半では、市場は予測不能(=ランダムウォーク仮説)・市場は全てを織り込んでいる(=効率的市場仮説)・勝つことは出来ないどころか、株は敗者のゲーム(ゼロサムゲームどころか、手数料分マイナスゲームどころか、少数の勝者の莫大な勝ち分を大多数の敗者で押し付けあうゲーム)であり、勝者は運で勝っているだけであり猿でもスーパートレーダーになれるという効率的市場仮説の説く虚無的な世界から始まります。
それに対して効率的市場仮説が成立するための三つの前提
1.情報コストゼロ(相場を変動させる情報は瞬時にマーケットに広がる)※将来の予測も含む
2.取引コストゼロ(売買手数料・税金がかからない)※先進国マーケットでは十分に無視出来る金額
3.合理的投資行動(全ての投資家は金銭的利益を最大化するように行動する)

の内、心理学により3が否定され(=プロスペクト理論)、即ち効率的市場仮説が崩れる事によって、市場で収益機会が発生する事を説明(=行動ファイナンス理論)しています。

しかし、市場は大部分効率的であり、わずかに発生する非効率(=収益機会)数少ない勝者が奪い合っており、それを取りに行くための考え方や姿勢や方法論が後半で説明されています。
本著で紹介されているのは主に三つです。
・ランダムでないトレンド(順張り)とミーン・リバージョン(逆張り)
・リスク・プレミアム(他人が嫌うものを売買する事による大きな対価・・・時としてローリスク・ハイリターン)
・アービトラージ(ただ飯(裁定機会)は貪欲に狙う)


上記は簡単に言っています(なので正確ではない)が、本著ではかなり詳しく説明されており、例えばトレンドについて、テクニカルは役に立たないものを役に立つと誤認しているだけであり、これはヒューリスティック(早合点)の一種で「妥当性の誤認」であるとしながらも、大部分がランダムなトレンド(たまたまトレンドっぽく見えているだけ)の中で、そうではない、ランダムでないトレンドが発生する理論を行動ファイナンス的に説明し、それを見つけるためのファンダメンタルズ分析の経済分析方法として、従来のスタティック・アプローチではなく、新しいマーケット・アプローチ、キーファクター・アプローチ、シナリオ・アプローチが説明されています。

ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析、さらには損切についても、ランダムウォーク仮説、行動ファイナンス理論(心理学)の視点から注意点が説明されています。

この事から分かるように、アカデミック(学問的)な本ではなく、投資を主体に書かれた本で、最後に投資での成功に必要なものとして以下が挙げられています。
・好きである事・・・マーケットの不確実性により投資は答えのないパズルであるため、何にでも興味を持ち調べ勉強する絶え間ない知的好奇心が必要であり、正しい投資をして失敗しても心が折れずに続けるためには好きである事が前提条件
・数字に強い事・・・マーケットは全てが数字に還元される世界であるため。数学とか公式ではなく、数字に対する感受性
・信念と柔軟性のバランス・・・信念が頑固ではだめで、柔軟性が過敏でもだめで、信念と柔軟性の両立という矛盾に折り合いをつける事がマーケットの不確実性に対応するために必要となる
・ロジカルである事・・・不確実性の世界にあっては論理的であっても成功するわけではないが漠然とやって失敗するよりも論理的に考えていく事が大事
・ひらめきと分析・・・マーケットの不確実性により、分析から正しい答えを得るという手法は間違っている。ひらめきを分析により検証すべき=仮説検証型思考法
・完璧を求めてはならない・・・不確実性のマーケットに完璧は存在しないし、偶然性に左右される世界でそれは危険な事
・自分だけの投資戦略・・・理論を頭で理解するだけでなく実践から自分だけのやり方・投資哲学を確立していないと、マーケットは不確実であるがために必ず起こる不測の事態に対応する事が出来ない

本著の最初で説明されたマーケットの不確実性にどのように対処するかがしっかり書かれています。
不確実性の説明に始まり、その対処で締める。
いかに著者が「マーケットの不確実性」を重視しているか分かるでしょ。

投資法や必勝法や銘柄を教えるという投資本・セミナー(サロン、VALU優待、Note等)・投資顧問・煽り屋を信じて騙されるよりも、こういう本を読んでヒントを得て、自分で考えて勉強して成長する方が有意義です。
投資に答えはないし、あってもすぐに変わるので、投資を始めるという事は永遠の勉強を始めるという事であり、上記で簡単に答え(しかも間違っている答え)を得ようとする人は投資に向きません。





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