2017-05-06 22:36 | カテゴリ:勉強や投資情報
『天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話』という本を読んでいます。
無茶苦茶面白いです。
いつものように紹介しようとまとめているのですが、全部面白いので、
「まとめを読むぐらいだったら本著を読め」
という感じです。
まぁ読みながらまとめているので、まとまったらいつものようにブログで記事にします。

↓こういう人達が活躍する本です
・情報理論の考案者であり、情報理論の父。今日のコンピュータ技術の基礎を作り上げ、コンピュータを計算機から情報端末に革新させた20世紀科学史における最も影響を与えた科学者と言われる万能の天才シャノン
・数学を投資に利用した初のヘッジファンドの創始者にしてクオンツのゴットファーザーと呼ばれるソープ
・破産せず尚且つ利益を最大化する賭け方「ケリーの公式」を考案したケリー
・裏社会でのし上がり、ソープに資金を提供しカジノのブラックジャックで稼いだキンメル
・講話だった経済学を数学に昇華させ効率的市場仮説の基礎を築きノーベル経済学賞を受賞したサミュエルソン
・効率的市場仮説を発展させたファーマ

等など、まだ1/3しか読んでないので、途中まで。

んで、今日は本著とか関係ないのですが、読んでる途中に「あ!」って思った事があるのでちょっと紹介。

『効率的市場仮説』って言うと、証券業界の人に取っては都合が悪い学説です。
だって株価の予測は不可能で、どんな株をいつ買っても勝率50%でしかなく、株で勝っている人は頭が良くて勝っているのではなく、運が良くて勝っているだけという学説ですから。

この学説に従うと証券業界の人(証券会社、投資顧問、運用管理者等)は全員詐欺師になってしまいます。
勿論ツイッターとかで株価が上がると買い煽っている人も全員詐欺師になります。

ファーマは効率的市場仮説を三つの区分に分けました。
◆「弱い形」(ウィーク):過去の価格について知っていてもそこから未来の価格を予測して相場に勝つことはできない=テクニカル分析の否定
◆「やや強い形」(セミストロング):どんな公開情報を使っても相場に勝つことは出来ない=ファンダメンタルズ分析の否定
◆「強い形」(ストロング):未公開の会社情報を手にしたとしても市場に勝つことは出来ない=インサイダー取引の否定

んで、効率的市場仮説を否定するのによく引き合いに出されるのがバフェットです。
長期間勝ち続けているバフェットのような存在を効率的市場仮説では説明出来ません。

また実際の株価は非効率的価格になっており、その非効率的価格が投資家に収益機会をもたらすと説明されます。

上記の説明はよく分かるし、正しいと思うのですが、凄く「引っかかってた」のです。
ようやくその理由が分かりました。

上記を読んで、
「そうだよ、効率的市場仮説は間違ってるから自分も相場で勝てるんだ」
という意識になりませんでしたか?

↓この、【勝ち視点】が引っかかってた違和感の正体でした。
効率的市場仮説の否定=自分も相場で勝てる

これが大きな間違いで、そもそも効率的市場仮説を否定するのにバフェットを出す必要はありません。
それは
「イチローが大リーグで活躍出来たのだから、自分も大リーグで活躍出来る」
と言っているようなものです。

そもそも効率的市場仮説は相場で勝てないと言っていますが、同時に相場で負けないとも言っています。
※だって勝ち負け50%ですから
※手数料は今は考えないでください

つまり効率的市場仮説を否定するのに、わざわざバフェットみたいな偉人を引き合にして【勝ち視点】で否定しなくても、個人投資家の8割は負けているので、その事実を持って効率的市場仮説は否定出来るのです。

このように【負け視点】で考えると、非効率的価格は収益機会をもたらすと同時に損失機会をもたらすとも考えられます。

・割高な株(=非効率的価格)を買って、下がって損をする
・割安な株(=非効率的価格)を空売って、上がって損をする


なぜ世の中には【勝ち視点】で効率的市場仮説を否定する人が多いのか・・・
否定したい人が証券関係者だからです。
自分が飯を食べるために一般人を投資の世界に引き込みたいからです。

そして、そもそも一般人も【勝ち視点】を求めています。
一般人は「株は楽して金儲け出来る」という都市伝説を信じたいのです。
そしてあわよくば自分もそのおこぼれに預かりたいと思っています。

学問の世界(効率的市場仮説)では負けないと証明されている株で、実際は8割の人が負けているという不都合な事実にこそ注目すべきです。

効率的市場仮説の否定=自分も相場で負ける
この意識をしっかり持ち、不断の努力した人が最初は負けても最終的な勝利者になるのだと思います。

◆◆蛇足1◆◆

上記では
負けてる人が多い=効率的市場仮説の否定
と書きましたが、一概にそれは言えません。

勝率が50%でも負け金額が多くなり、結果的に負ける人が多くなる要素があるからです。
損大利少
こうなっていたら例え勝率が50%でも金額ベースでは負けてしまいますよね。

原因の一つはナンピンです。
負ける人ってよくナンピンします=金額が大きくなる=損切が大きい
にも拘わらず、勝っている時は買い増さずに利確するケースがほとんどです。
すると必然的に損大利少になります。
※このような人は負けているポジションを救うためという後ろ向きのナンピンですので、ナンピンは頻繁にしますが、勝っているポジションでの買い増しはほぼしません。
※ファンダで投資している人で、負けているポジションを増すのはナンピンではなく「買い下がり」と言います。目標株数を一気に仕込むのではなく、買い下がりながら集めるケースです。これは目的が「負けているポジションを救うため」ではなく、将来想定株価となった時に十分な利益を出せる株数を仕込むための買い増しですので、理由が前向きです。こういう人は、株価が上がっている時でも目標株数目指して買い上がっていきますので、例え思惑が外れて損切が大きくても、利確も大きくなるので問題ないです。ただし、勿論厳格適切なリスク管理をした上で、これが一番難しいのですが、ファンダ能力により正しい想定株価を見抜けている前提です。

原因のもう一つは損切が遅く利確が早い事です。
これも必然的に損大利少になります。

◆◆◆◆◆

◆◆蛇足2◆◆

勝ち負けで考えなくても、新興株の特にマネゲ銘柄とか見てると、どう考えても効率的な株価になっていない銘柄多数(割高すぎる銘柄多数)なので、時間軸の問題(長期間経てば効率的な株価に収束するでしょうが)はあるとしても、あんまり効率的市場仮説はマネゲには関係ないですよね。

むしろ、
「非効率的な株価(割高)になっているから空売りしよう」
という投資家が、マネゲ銘柄では踏み上げられて、大火傷を負います。
今のenishのようにね・・・

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