2016-12-03 12:13 | カテゴリ:勉強や投資情報
『マーケットの魔術師』感想その2です。
その1はコチラ

ポール・チューダー・ジョーンズ(5年連続3桁のリターンを出した一匹狼の先物トレーダー)
↓ほぼ完璧に塩漬けマンの考えと一致
「ナンピンしないこと」
「トレードがうまく行かない時は枚数を減らすこと」
「うまく行っている時には枚数を増やすこと」
「コントロールできない局面では決してトレードしないこと。重要な発表の前には手仕舞う」
「損の出ているポジションを持っていて不快なら答えは簡単だ。手仕舞うだけだ。いつでも相場に戻ってこれるのだから、新鮮な気持ちでスタートを切れるのに勝るものはない」
「トレードで最も重要なルールは巧みな攻撃をすることではなく、巧みな防御をすることだ」

→つまりリスク管理が一番大事だと言っている
「自己中心的な考え方をしてはいけない」
「常に自分自身とその能力を疑ってみる」
「自分はうまいんだなどと思ってはいけない。そう思った瞬間、破滅が待っている」
「史上最高の投機家、ジェシー・リバモアが【長期的には相場では決して勝てない】と言った意味を考えて謙虚になれ」
「よいトレードをしたとしても、自分が超人的な洞察力を持っているなどと思ってはいけない」
「常に自信を持っていないくてはならないが、注意を怠ってはいけない」
「(今成功し続けていて)私は今最も臆病になっている。この業界では成功がいかにはかないものか知っているからだ。成功するためには怯えていなくてはならないことを私は知っている。私が大きくやられるのは、いつも大きく稼いだ後で、自分は何かを掴んだと思い始めた時だ」
「システム(トレード)は無限の計算力を有するという利点で人間よりも効率的にトレード出来るかもしれないが、変化し続ける相場のパターンを解き明かしていくことの複雑さゆえ、優れたトレーダーは、通常優れたシステムを上回る成果を上げる。しかし、相場が大きなトレンドを形成している期間は優れた(トレンドフォロー)システムは私の10倍もよく値動きをとらえている」
「株価の動きがまず先で、ファンダメンタルは後からついてくると信じている」

→ブルース・コフナーの相場は先行すると同じ考え
「我々(成功者したトレーダー)は他人が持っていない不正な知識をもっていたのではなく、単に毎日宿題をやっただけ。誰でも大衆から抜け出し凡人を超える事が出来る」
「私が誰よりも優れていたから成功したなどと言うつもりはない。神のご加護のもと、私はいい時期にいい場所いたのだ」

→なのでその恩恵を貧しい人に分け与えるため、彼はすごく慈善事業をやっています
「(普通のトレーダーに対する最も大事なアドバイス)金儲けに執着するな。自分が手にしたものを守ることに執着せよ」
→彼はリスク管理の重要性が強く認識しており、トレードでどれだけ儲かるかは考えず、どれだけ損をする可能性があるかを考える
→彼はポジションにどれだけ多くの含み益があろうと、買った時の値段は一切考慮せず前日の引け値が基準となる。この考え方でいけば、どんなポジションにも満足できなくなる。その他数多くの彼なりのリスク管理を行っている。

ゲーリー・ビールフェルド(1000ドルから始めて、先物のTボンド市場における巨人となった。分散投資をせず、長期投資のファンダ重視で特定市場のエキスパートとなることで巨万の富を築くが恐ろしいほど謙虚。彼の夢は地元の小さい街で慈善事業をする事)
「基本的にはファンダメンタル分析を尊重している。しかしすべてのファンダメンタルズを把握する事は難しく、80%でうまくいくだろう。またテクニカル(独自開発したトレンドフォローシステム)を手仕舞うタイミングを計る時の補完として使っている」
「(トレンドフォローシステムについて)初心者が利食いはゆっくり、損切は素早くという原則を学ぶのに適している」
「(販売されているトレンドフォローシステムについて)売買が短すぎて取引コストが高く実践的でない。中期から長期のシステムがよい」
「システムを使ってトレードする人は自分の判断も考慮してトレードすべき。私は基本的には自分の判断を重視している。今では多くの人がシステムを使うため、システムは機能しなくなった。同じことをする人が多くなりすぎた時には市場はいつも調整局面に入る」
「(トレードで)最も重要な事は、利が乗ったポジションは出来る限り長く持ち続け、うまくいかないポジションは素早く切るという方法を持つこと」
「(長期投資で成功する特性)一番重要なのは規律。二番目は忍耐。うまくポジションが取れたらそれを継続出来なければならないからね。三番目は相場に入っていく勇気だ。資金が十分にあれば勇気も出る。四番目に潔く損を出せることだ。これも資金量と関係がある。五番目に勝ちたいという願望。」
「(投資における成功について)僕は稼いだお金をどう使うかによって成功を判断している。慈善事業の基金で様々なプログラムを支援して地域に貢献することで僕たちは成功を分かち合えると思う」

→なにこの聖人。この人は地域で慈善事業したくて、それを成し遂げるという目標を達成するために投資を頑張れたようです
「(新米トレーダに)初めのうちは大きく勝負に出ない方がいい。失敗してしまうと気力を取り戻すのは容易じゃない。ほとんどのトレーダーは始めにリスクを大きく取りすぎる傾向がある」

エド・スィコータ(コンピュータによるシステムトレードの先駆者。アナリストという満足のいく職についていながら、会社がパソコンを使わせてくれなかったため退職し、転職先では勤務時間は雑用をしながら休日にシステムトレードプログラムを作って先物における最初の営業用トレードシステムとして売り出す。独立後はある顧客口座の利益率を数百万%としたその時代最高のトレーダー)
※前述のマイケル・マーカス曰く「彼は偉大なトレーダーというだけではない。彼はトレーダーの心そのもの」
「僕のスタイルはいくつかの特別なパターン認識とマネーマネジメントのルールを備えた、基本的にはトレンドフォローシステム」
→彼は見つけた「トレードの秘訣・法則」を次々とシステムに組み入れて、彼のシステムは常に進化し続けている。そして長期思考であり、トレンドフォローシステムが流行って、多くのトレンドフォローシステムが利益を出せなくなっても、それを乗り越えて彼のシステムは利益を出せると信じている
また、システムはトレーダーのスタイルを反映したものでなければ長続きせず、彼のシステムは彼の分身そのもの。
「ファンダメンタルズは、通常既に相場に織り込まれているので、あまり役に立たないと思う。」
※他の人が知る前に得た情報によるファンダは除く
「①長期トレンド、②現在のチャート・パターン、③最良の売買ポイントが僕のトレードを構成する主な要素。そしてずっと下がった4番目にファンダがあり、結局これでは儲かっていない」
→彼はテクニカル派で、ファンダにはかなり否定的です
「売買ポイントはリスク軽減のため底よりも上、天井よりも下。底や天井を捉えようとは思わない」
「劇的とか感情的なトレードはうまく行った事がない。プライドは希望、恐れ、貪欲さと同じように大きなバナナの皮のようなもの」
「失敗トレードは出来る限り早く損切ってすぐ忘れる。そして新しい機会を求めて行動する」
「良いトレードの要素とは、一に損切、二に損切、そして三に損切りだ。もしこの三つの法則に従うならば、誰にでもチャンスは巡ってくる」

→損切しかしてないじゃないっすか!永遠に儲からないじゃないっすか!!ってそれぐらい損切が大事って事ですね。
「負けが続いている時はトレード量を抑える。そして何もせずに待つ。負けが続いている時にトレードすれば感情的になって破滅的になってしまう。何とか取り戻そうという行動は致命傷になる」
「自分のPFを痛めつけるほど大きなポジションは取らない」
「トレードは全て独学。自分自身のことと、他のトレーダーのことを継続して勉強している」
「ポジションを取ると同時にストップオーダーを入れている」
「個々のトレードでは資金の5%以下にリスクを押さえるようにしている」

→大体みんな5%までって言いますよね
「自分の成功は相場への愛情からくるもの。トレードが僕の人生そのものであり、それに情熱を燃やしている。趣味や職業ではない。トレードこそ僕の天職」
「(トレードルール)①損切は早く、②利食いはじっくり、③ポジションは小さく、④躊躇なくルールに従う、⑤ルールを変えるべき時を知る」
「(普通のトレーダーへのアドバイス)自分より優れたトレーダーを探す。そして自分でも好きになれそうなやり方を何か見つけることだ」
「自分は勝ち続けられる、と、自分はただついていただけ、という気持ちの間を常に行ったり来たりしている。大きな負けが続く直前は自分の能力を最も強く確信している時だけど」

→謙虚になれってことね
「優れたトレーダーが才能を持っているのではなく、才能が彼らを支配している」
「トレードの才能を習得するのは難しいことだと思う」

→訓練で誰でも優れたトレーダーになれると考え、タートルズを作ったリチャード・デニスとは違う考えですね
「負けるトレーダーが勝てるトレーダーに変身出来ることはほとんどない。なぜなら負けるトレーダーは彼自身を変えたいと思っていない。それは勝てるトレーダーがやることなんだ」
→つまり負けるトレーダーが勝てるトレーダーになるには常に勉強して変化して進化し続けろと。それが出来ているものが勝ち組で、出来ない人が負け組なので、負け組はずっと負け組。
「誰もが相場から自分の欲しいものを手に入れる」
→これは理解が難しいので本書を読んでください。負けてる人も刺激だったり、本当に欲しいものを実は相場から手に入れてるようです。

ラリー・ハイト(そこそこの役者兼脚本家、音楽プロモーターから投資家になった稀な経歴の持ち主。しかし彼の投資顧問は厳しいリスク管理のもと、長期間安定的なリターンを上げる)
彼は証券会社の面接で「当社はブルーチップだけをお客様に勧めます」と言われて、ブルーチップがカジノ用語だと知り、株式アナリストのバイブル『証券分析』を投げ捨て、『ディーラーをやっつけろ』という本を買った。投資が成功するかどうかは単なる勝算の問題(=ギャンブル)だと理解したから。
「長年市場を見ていて非効率的だという事が分かった。エコノミストの友人は効率的市場仮説を唱えて僕のやろうとしていることは無駄だと諭すが、彼らはみんな貧乏だ。彼らはこうも言う「君が常勝のコンピュータシステムを作っても、他の人にも作れるから、効果を打ち消し合って儲からない」。しかし彼らは貧乏だ(私は金持ちだ)」
→みんながシステムを作っても、人間はミスを犯す。チューリップバブルの時代から人間はミスを犯して学んでは、またミスを犯してきた。市場は変わっても、人間が必ずミスを犯すという事実は変わらない。ミスを犯す人間がいれば、市場は非効率的になり、勝てるシステムも存在する・・・というような事を言っていました。
「我々は何も知らないということがわかっている。どんな情報があろうと、何をしようと、過ちは犯すもの」
→つまりリスク管理をしろという事。彼は例として、世界一のコーヒー先物のトレーダーと会い、コーヒーの全て(貿易船が世界のどこの海域にいるかから、各国の大臣まで)を知っているというトレーダーに対し、「私はコーヒーの事は何も知らない。そもそも飲まないし」と言い、じゃあどうやってトレードしてるんだと聞かれ、「リスクだけを見ている」と答えた。三か月後、その世界一コーヒーに詳しいトレーダーはコーヒー先物で1億ドル吹っ飛ばした。
「(自分の投資顧問の)一番最初のルールは、どのトレードにおいても、総資産の1%以上のリスクを取るなという事だ」
→1%でストップロスを入れるという事のようです
「二つ目のルールはトレンドを追いかけることと、その手法を堅く守ること。良い賭けで損が出ることはある。しかし勝算が50対50で1ドル損するか2ドル儲けるかだとしよう。これに何度も賭け続ければいずれ勝つということだ」
→『タートル流投資の魔術』に書いてあったエッジのあるトレード戦略(正の期待値を持つ)を繰り返せという教えと、その著者の師匠リチャード・デニスの「53%うまくいくトレードを繰り返せば短期的には負けても長期的には100%うまくいくかもしれない」と同じ事を言っている。
「三つ目のルールはリスクを減らすために分散すること。我々は他のどの投資顧問よりも世界中の様々な市場でトレードしている。そして短期から長期までを目標においた複数のシステムを使う」
「四つ目のルールはボラティリティに注意を払うこと。ボラが高くなると、反対に期待リターンとリスクの比は悪くなるので、その市場での取引は中止する」

→彼は得るべき利益を失ってもリスクのある相場には参加しないそうです。
→彼は自身と知り合いの絶対に安全と思えるポジションで損をして、1取引で破滅する様を見てきて、徹底したリスク管理に辿り着いたようです。
「トレード参加者には三種類いる。業者、フロア・トレーダー、スペキュレーターだ。業者は最高の知識を持ち、ポジションを解消する最良の手段を持っている。フロア・トレーダーは速さの点で有利だ。スペキュレーターは知識はないし、スピードも速くないが、参加しなくてもよいという特権がある。スペキュレーターは自分に取って有利だと思うときだけ、賭ければよいのだ。この立場は非常に有利な点だ」
→個人投資家だけに許された特権「ノーポジ」と一緒ですね。
「(損をする理由は)統計的なアプローチでなく、先入観を持ってトレードをするから」
「我々は相場をトレードしているのではなく、資金を動かしているだけ(=どの市場でも商品でも同じ)」

→彼はある社長から「金とココアの売買はどう違うか」と聞かれ、「1%の賭けであって、私にとってはどちらも同じです」と答え、馬鹿にするな!と怒鳴られたそうです。また、ロンドンタイズの取材を受けてココア相場の見通しについて聞かれ、「相場は見ていません。私が見ているのはリスク・リターンのみであり、儲かるかどうかです」と答えて、「彼は金儲けにしか興味がない」と記事にされたそうです。
「過去についてなら誰でも完璧なシステムを作り出せるよ」
→つまりテクニカルは過去を見るものであって、未来を完璧に見通して儲けるシステムは作れないと言っている
「数あるテクニカル指標の中で最も過大評価されているのは、売られすぎ、買われすぎの指標。検証によって証明したものはいない」
「小幅な利食いを重ねて大金持ちになった人はいない。様々な商品をトレードし、リスクを管理し、かつトレンドに乗った時に、初めてうまくいくのだと分かった」
「トレード、そして人生に勝つための基本的なルールが二つある。一つは賭けなければ勝つこともない。もう一つは、すべてのチップがなくなれば、もう賭けることはできない」

→まとめると彼のトレードは、逆張りはしないトレンドフォローで、各トレード最大リスクは総資産の1%で、複数システムを使用し、ありとあらゆる市場(全部で約60)でトレードする分散投資で、ボラティリティの上昇によっては機会損失でも手仕舞う。

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これで『一章 先物と通貨』が終わりです。
まとめると、こんな感じ。
・全員満場一致でリスク管理(特に適切なポジションサイズ)が大事と言う
・テクニカル VS ファンダ だけど、結局どっち派でも勝ってる人がいる
※テクニカルによるシステムトレードは流行と共に勝てなくなって来たと感じている人が多い
・トレンドフォローでトレンドに乗るのが大事
・損切は早く利益は伸ばせ
・相場を操縦する事は不可能
・謙虚になれ


第二章はいよいよ『株式トレーダー』です。
株式トレーダーは先物トレーダーとはまた違った事言う人もいます。
例えばウォール街で最も成功したトレーダーの一人でヘッジファンドのパイオニアのマイケル・スタインハルトは以下のようにいい、
・チャートは一切みない
・ストップロスは入れないし、売買ルールはない
・自分のファンダによる根拠が崩れるまで絶対損切はしないし、ナンピンする
・逆張り
・勝てる時は大きく資金を入れる

先物市場の巨人達とは真逆の事をしています。
ただ同じだったのは、
・常に自分を疑って謙虚であれ
・必勝法はないから進化し続けろ

ということ。

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