2016-02-06 09:00 | カテゴリ:勉強や投資情報
今クオンツやアルゴの勉強をしていて、ちょっと覚え書きです。
※前回記事はコチラ
※決してクオンツを推奨しているわけでないです。事実栄華を誇ったクオンツの人で大損害を出している人多いです。

クオンツとは以下のような意味ですが、これだけ読んでも意味不明だと思います。

↓読まなくていいですよ
クオンツは、「Quantitative(数量的、定量的)」から派生した用語で、高度な金融工学の手法を用い、マーケット(市場)の動向などに対して分析や予測を行う業務、またはその専門家のことをいいます。これは、1980年代のアメリカで、NASAのロケット工学を専攻した科学者が、量子力学などの手法を金融工学に取り入れたのが始まりで、その後、デリバティブ取引やリスクマネジメントなど様々な分野で盛んに用いられるようになりました。

現在、クオンツは、金融業界においては、高度な数学的手法や数理モデルを使って、マーケットを分析したり、投資戦略や金融商品を考案・開発したりすること、もしくはその専門家のことを指し、その中で、過去の市場データや企業業績の推移などの数値化できる情報を用いて分析したり、予測モデルを構築したりすることをを専門に行っている人を「クオンツアナリスト」と言います。また、定量モデルにより銘柄の魅力度を判断し、投資を行う運用手法を「クオンツ運用」と言い、その運用手法を使ったファンドが「クオンツファンド」です。(金融経済用語集)


クオンツとは物理学・数学を利用して金儲けする人や手法の事だと思っていいです。
具体的には彼らは以下のような投資行動を取ります。

■前提■
1.ランダムウォーク仮説により、株価は予測不能
2.効率的市場仮説により、株価は適正価格


上記二つの前提にたてば、
万年赤字糞企業の株をいつ買っても売っても、儲かる確率は50%、損する確率も50%
成長優良企業の株をいつ買っても売っても、儲かる確率は50%、損する確率も50%

となります。

長期投資(`・ω・´)キリッとかファンダ(`・ω・´)キリッとか言ってる人が見たら怒りそうですよね(´・ω・`)しょぼーん
『ザ・クオンツ』には以下のような事が書いてありました。
「その企業は何を作っているのか、良いものを作っているかなどということを気にするのは、ウォーレン・バフェットやピーター・リンチといった、ウォールストリートの時代遅れな人たちにやらせておけばいい。」
※クオンツの天才が集まったファンドLTCMは結局破産してソロスやバフェットに支援を乞うている事から、結局はソロスやバフェットに軍配が上がっています。

実は塩漬けマンも短期投機をしていて、常々ある事を感じていました。
「買う銘柄なんか何でもよくない?サイコロで決めてもいいじゃん。上がるも下がるも1/2。大事なのは売るタイミングでしょ」
勿論、今回クオンツの勉強をするまで、効率的市場仮説なんか知らなかったのですが、経験からこの金融経済学の考えと同じ結論に辿り着いていたという事です。
『ザ・クオンツ』にはある教授のセリフとしてこんな挑発的な事も書いてありました。
「株の銘柄選択をするのは完全な時間の無駄だと証明されている」

話を戻して、という訳で、初期の物理学・数学を投資に取り入れて理論・モデルを組み立てた開拓者達(バシュリエ、オズボーン、マンデルプロ達)は、「投資は儲からない」という結論しか出せずに、自ら投資をする事はなく、学問として追及するのみでした。

しかしソープは物理学を利用して投資で金儲けをする方法を編み出します。
物理学を利用して、ワラントや先物等、適正価格となっていない(複雑で分かりにくいため)金融商品の適正価格を見抜き、それが高ければ売り、安ければ買えばいいと気づいたのです。
※効率的市場仮説によればこのような状態(適正価格でない状態=非効率的な価格)は存在しえないのですが、価格の素早い値動きの間隙や、複雑な金融商品、マイナーな金融商品等の理由により、非効率的な価格となる事があり、クオンツは物理学やコンピュータを使い、素早くこの非効率的価格に気づく事で、利幅を抜く(=価格が適正になる=価格の効率化をしている)のです。
ただし、ランダムウォーク仮説により、勝率50%(=敗率50%)である以上、買いだけ、売りだけというポジションは絶対に取れません。
※片方だと勝率50%の博打でしかないから
ロングポジションを取ったら、同時にショートポジションでヘッジします。
ショートポジションを取ったら、同時にロングポジションでヘッジします。
※勿論同じ銘柄を売り買い両建てにするという意味ではないですよ。ワラントを売ったら現物を買うという感じで両建てにします。
※「クオンツの手法=売り買い両建て」ではないです。ソープの手法がそうだったというだけです。
こうすれば、株価がどれだけ上に動こうが、下に動こうか、損をする事はありません。
そして適正価格でない方は適正価格に近づくので、そこで決済すれば、利益となります。
ヘッジによりリスクフリーで利益をどんどん抜いていく。
これがソープが作った手法(デルタ・ヘッジ)であり、このようなヘッジを利用するファンドヘッジファンドと言います。
※専門家でないので違ってたらすいません。イメージはこんな感じ。
※ヘッジファンドって知らなければ、何かよく分からないけど、凄い事やってるってイメージですけど、基本は上記のような事をやっているのです。

リスクフリーで利益が抜けるのですからぼろ儲けです。
物理学者が大挙してウォール街に押し寄せ、クオンツとなり、莫大な利益を上げる時代となりました。

事実クオンツ達は莫大な利益を上げ続け、彼らの「絶対」に儲かる手法は「絶対」に正しいと妄信されていきました・・・あの日まで・・・

運命の日!ブラックマンデーっ!!
クオンツ達が用いていたポートフォリオ・インシュアランスにより、売り注文が浴びせられ、暴落に拍車が掛かり、ダウ平均は過去最大の下げ幅の3倍も下落しました。

クオンツを含めて、多くの投資家が大損害を被り、破産に追い込まれた空前絶後の地獄・・・
※クオンツ以外の、特にファンダ投資とかしてる投資家からしたら、本当にいい迷惑です(´・ω・`)しょぼーん

クオンツからすれば「絶対」に正しいクオンツの手法で損失を出した・・・そんな馬鹿な・・・ありえない!
しかし
物理学者からすれば「絶対」に間違ったクオンツの手法で損失を出した・・・そんな当然な・・・あたりまえ!

なぜか?物理学とは前提・仮説の上に理論を組み立てる学問であり、前提・仮説が間違っていれば、理論も間違いとなります。
そして失敗→検証→修正を繰り返して理論は進化していくのであり、数理モデルとは、絶対的法則ではなく、万能でもなく、不完全な前提に基づいた、特定の状況でしか正しく機能しない未完成の道具でしかないのです。
ましてや、ポートフォリオ・インシュアランスの基になっていた、バシュリエ、オズボーンの数理モデルが間違っている(激しい例外が起こると正しく機能しない)事は、既にマンデルプロがブラックマンデーが起きる遥か昔に指摘していたのに・・・

そしてブラックマンデーを切り抜ける事が出来たのは、以下の真のクオンツ(物理学を投資に利用する投資家でなく、物理学に投資を利用する物理学者)の面々でした。

彼らは自分達が作った理論を妄信せずに、どれだけ完璧に利益を上げ続けようと、常に懐疑の視線を送っていました。

・ソープ (ファンド運営は相棒のリーガンに任せ、大学で教鞭を取りながらあくまで学者としての立場を貫いていた)
ソープは悪夢のブラックマンデーを終え、火曜日に動き利益を上げます。
勿論、「下がるんだから空売りすればいいじゃん」という勝率50%のギャンブルでなく、あくまで自らの編み出したクオンツの手法(売り買い両建てでどっちに動いても損をしない手法)で利益を出します。
※事実火曜日の午後から株価は一転急反発したので、空売りだけをしていたら大損害を被っていた
今回の崩壊の原因がポートフォリオ・インシュアランスにあると見抜いていたソープに取って、ブラックマンデーの大混乱の中で、先物と現物の価格が激しく乖離した状態は、その乖離を利用して利幅を抜くのを得意とするソープに取っては宝の山だったのです。

ソープは先物を買って現物を売る指示を部下のトレーダーに出します。
しかしトレーダーは「とても注文出来ない!」と拒否します。
市場は完全崩壊し、狂ったような注文が飛び交う阿鼻叫喚の地獄!
まともな神経を持った人間にはとても注文なんか出せない状況・・・
そんな中ソープは部下を叱咤、恐喝し無理やり注文を出させます。
結果利益を出す事に成功します。またブラックマンデーが起こった年の利回りも20%超えを達成します。

・オコナー&アソシエイツ (物理学者・数学者を多数雇っていた)
ポートフォリオ・インシュアランスの基になっていた、ブラック・ショールズモデルは例外的な値動きに対処できないと見抜いており、独自に修正し、例外的な値動きにも対応可能なモデルを開発していた事により、ブラックマンデーでの損害を免れる。

以上がブラックマンデーまでの「クオンツ」です。
クオンツはネットワーク・処理の高速化、アルゴリズムの進化等により、その後どんどん進化していきます。

そしてこの話から塩漬けマンが得られる教訓は以下の感じ
※クオンツになるつもりも、能力もないです
・どんなに利益を出しても、常に自分(のトレード手法や考え方)を疑い進化し続けなければいけない
・片方のポジションだけというのは結局50%ギャンブルやってるのと変わらないと自覚すること
※逆ポジションのヘッジを推奨している訳でなく、まずは自覚する事が大事
・勝率を50%から少しでも上げる方法を見つけないといけない
※長期投資ならそれはファンダとかでしょうし、短期投機なら、今回の勉強の主目的である、敵(特にアルゴの挙動)を知るというのはまさに確率を上げる行為


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