2017-03-11 12:35 | カテゴリ:勉強や投資情報
『株式ディーラーのぶっちゃけ話』を読みました。
今まで右で紹介してるの以外にも色々本を読んで来ましたが、実用的という意味では一番役に立ちました。
何より面白いですしね。
スラスラ読めます。

この前に読んでた本が投資心理学の本『ゾーン』で、本を床に投げつけたくなるぐらい、読みにくい、難解な本なので、尚更読みやすかったです。
『ゾーン』は内容が難解なのではなく、作者の文章力のなさ・説明能力不足・無駄な比喩・同じ事の繰り返し・論理一貫してない等によって無駄に難解で読んでいてストレスしか感じないです。

まぁそれは置いといて、『株式ディーラーのぶっちゃけ話』でためになった箇所です。

・想像以上に多くの証券会社がディーディング業務に参加している(=機関投資家)
ネット証券の誕生で今までメイン顧客だった富裕層の7割がネット証券に移行

ブローカー業務では稼ぐ事が出来なくなったので必然的に中小証券会社はディーディングせざるを得なくなった

・想像以上に多くの機関投資家が新興市場に参加している
アローヘッドの登場により大型株はアルゴリズムが席巻しており(特に100%勝てる裁定取引)、利益が出なくなったのでボラを求めて新興市場で投機的な取引をしている

・ディーラーには規制がある(場合がある)

コンプライアンス上の問題でネットが見れない環境で取引している
これで一つの謎が解けました。
新興株で材料が出てマネゲってる銘柄で、材料がしょぼかったり、ツイッターの煽り屋の嘘・風説だったりで、それがバレた場合に、当然急騰した株価は元に戻らないといけませんが、なんか、あまり下げずに、上がったりする銘柄もあります。
これって、ネットでリアルタイムの情報が把握できない機関のディーラーが参加してたら、彼らはテクニカルで売買してますから、下がったら「押し目だ!チャンスだ!」とばかりに、買ってきますので、下がらないですよね。

日中の新高値を買ってはいけない
買い上がりの違法取引の疑いを掛けられる事を避けるために新高値を買ってはいけないという規制があるそうです。
新高値は買えないので、買いたい株があっても、新高値近辺だと、個人投資家が新高値の売り板にタッチしてくれるまで我慢しているそうです。
これでまた一つ謎が解けました。
新高値に沢山の売り板がある場合、なかなかその板にタッチせずに、かと言って下がりもせずに、つばぜり合いみたいに大きな売り板の前で硬直しているのに、いざタッチした瞬間、恐ろしい勢いで買いが殺到して、一気に食われる事が多いです。
大抵その大きな売り板の1ティック上に空売り返済買いの逆指値している人が多いので、その逆指値も巻き込んで、一気に株価は急騰します。
この恐ろしい勢いの買いは機関投資家の可能性があったのですね。
※新高値でなくても大抵大きな板の前ではこういう値動きですけどね。

「新興で板も薄いのに、こんなに買ったら売れなくなるぞ・・・誰が買ってんだ?」
って思うこと多々ありますが、中小証券会社のディーラーとは言え、板の薄い新興株では十分相場を操縦できる資金力を持っているので、まだまだ買い支えて、株価を上げるつもりなら、大量に買えるのかなと。
※ただ、本著にもありましたが、機関の多くはデイで持ち越さないので、その日で売れなくなる程(自分の売りで値を下げてしまう程)大量に買うとは思えないので、機関ではないか、もしくは最近の機関はスイングも増えているのか・・・

・短い期間で高い運用利回りを求められるので必然的にテクニカルで短期的な売買となる
月単位で何十%という運用利回りを達成するにはファンダとか言ってたらダメで、必然的に短期トレードになります

・思った以上に機関投資家のディーラー一人の市場に与える影響力がある
この本は中堅証券会社のディーディング部門の話として描かれていますが、その中のたった一人のディーラーの売買で保険セクターを支配していたようです。
※支配は言い過ぎなのかな。
※という事は、新興株の板の薄い1銘柄なんて操縦し放題でしょうね。

・やはりあった聖杯(インチキのね)
機関投資家だけの聖杯がやはりありました。
東証はお金を出した顧客だけに東証のシステムと専用線で繋げて、一般投資家が知る前に注文内容を数秒早く入手可能にし、また板情報も我々よりも詳細板明細:同一株価にある複数注文の株数・順番や複数成行注文の株数・順番が分かる)なのです。
いわゆる、東証端末と言われるものです。
これにより、機関投資家のディーラーは我々よりも数秒早く、詳細に注文内容を知る事ができフロントランニングしたい放題なのです。
しかも当時は東証の注文執行処理が遅いので、複数の成行注文があると、執行されずにどんどん溜り、その中身が全部分かった状態(累積成行注文)でかなりの優位性があったそうです。
よってスキャでほぼ勝てます。
しかしアローヘッドの登場により、この聖杯は人間には使えなくなりました
表示される情報・注文の執行が速すぎて、ミリ秒、ナノ秒の世界に突入したからです。
そう・・・どれだけ情報が速くなっても大丈夫な、アルゴリズムのみが未だこの聖杯を使えます
※今でも板明細のサービスがあるのかは不明

・機関投資家はアルゴリズムによる注文で正体を晒さない
塩漬けマンは大口の存在をキャッチする際に、歩み値の約定株数から大口が来てるか判断する事がありますが、機関投資家は歩み値から自らの存在を隠すために、アイスバーグ(分割で買う)やステルス(隠れて買う)というアルゴで大きな注文を小分けや、板に注文を晒さずに約定しているそうです。
※大きな板を食べるのに100株とかの小口注文が大量に一瞬で出て板を食べたら、アイスバーグの可能性がある
※出した注文が一定の株価で出した瞬間に約定し続けたらステルスの可能性がある

勿論そういう自動注文アルゴがあるのは知っていたのですが、それってブローカー部門が顧客の大口注文を受けた際に人間が分割注文とかしてたら面倒くさいから、大口注文と分からないように自動で売買するためにあると思っていたのですが、ディーディング部門のディーラーも普通に使っていたのですね。

また、株価が高騰している高値圏で大きな約定が出たら、塩漬けマンのように
「大口きたぁ!まだまだ上がるぞっ!」
ではなく、
「アルゴで処理しない大きな注文=空売りの買い戻し なので今が天井で売り時」
と考えるのが普通のようです(´・ω・`)ショボーン
※底値圏の投げ売り時の大きな注文は逆に考える

勿論、大口の注文を歩み値から察知したら、それは機関投資家以外の大口の注文だと考えて、
「そんな大口が大量に買っているなら、株価まだまだ上がるぞ!」
って考える事も出来るし、要は
「誰がいくら買ってる(空売りを買い戻してる)かは分からないんだから、上がる、下がると決めつけるな」
って事ですよね。

よく
「大口だ!」
「仕手だ!」
「アルゴだ!」
「インサイダーだ!」
「チャート作ってる!」
「集めてる!」
「機関が抑え込んでる!」

自分の都合のいいように(思いたい方に)決めつけている人いますが、それは可能性と確率の話であって、自分の経験によってそれを見抜ける確率を数%上げる事は出来るかもしれませんが、基本分からない事を100%そうだと決めつけたら、間違っていた時に大損するので、分からない事は分からない前提でトレードした方がいいと思います。
※間違っていた時でも問題のないリスク管理(素早い損切、ポジションサイズ等)をしたトレードという意味です。

また、そういう幻と戦わなくていいのがファンダ長期投資の魅力ですよね。
ただ、ファンダも、その人のファンダ能力によって、上がる(下がる)株を見抜く確率を50%から少し上げるだけなので、100%と決めつけずに、ファンダ長期投資であっても、いや、ファンダ長期投資であるからこそ、一番大事な時間を使っているので失敗は許されませんから、リスク管理(分散投資、ポジションサイズ等)が大事になります。



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